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コラム vol.470
  • 賃貸住宅経営のポイント

「土地+新築賃貸住宅」という不動産投資戦略を考える

公開日:2023/10/31

土地と賃貸用の建物を合わせて購入し、賃貸住宅経営を行う方法は、一棟マンションへの投資(区分マンション投資も含め)として、従来から広く行われてきた投資手法でした。昨今、注目を集めているのが、土地と新築賃貸住宅(新築アパート)をセットにして購入し、運用するという不動産投資です。「ランドセット」と呼ばれることも多いこの投資手法は、新築マンションではなく、新築賃貸住宅の不動産投資という、ビジネスモデルといえます。

地域差が広がる賃貸住宅ニーズ

昨今、賃貸住宅経営において、地域間格差が大きくなっているといわれています。3大都市圏に人口が集中し、地方においても「コンパクトシティ」化の推進によって、中心部への人口移動が進んでいます。
賃貸住宅経営は、人口だけではなく世帯数や単身者数などによっても左右されますが、基本的に人口が減少している地域では、慎重な判断が必要となります。
また、現在は賃貸住宅需要があっても、将来、企業や学校の移転などが起これば、周辺の賃貸住宅需要は大きく減少することになりますので、将来のことも考慮しなければなりません。賃貸住宅経営は長期にわたります。これから20年先、30年先を見通した場合、立地の選定は非常に重要になってきます。現時点では、収支がとれているとしても、今後、賃貸需要がほとんど見込めないと判断される条件の土地であれば、その土地は売却し、賃貸住宅需要が見込める土地を購入し、賃貸住宅を行うのも対策の一つとなります。

国土交通省の「令和5年度 土地白書」によれば、住まいの立地として何を重視しているかという質問に対して、1位は「住み慣れた場所であること」(27.2%)ですが、2位には、「日常の買い物など、生活の利便性が高いこと」(24.7%)が、3位は「駅などの公共交通施設に近いこと」(9.8%)というように、買い物や移動などの利便性を重視した立地条件が上位となっています。また、「日常の買い物など、生活の利便性が高いこと」と答えた人は、ここ数年増加傾向(前回からは微減)にあるといえます。

図:住まいの立地に重視するもの(1番目)

国土交通省の「令和5年度 土地白書」より

この結果と傾向から判断すれば、「利便性」という立地条件は今後も重視される傾向にあるといえそうです。

「土地+新築賃貸住宅」不動産投資のメリット

元々不動産は、値動きの激しい金融商品などと比較して、安定した投資対象であるといわれていますが、ご入居者に支持される賃貸住宅を購入することができれば、長期的な収益の確保につながる可能性は、さらに期待できます。
条件を満たした「土地+新築賃貸住宅」による不動産投資は、老後の資金対策や資産形成にも役立つソリューションであるといえますが、そのほかのメリットもあります。

相続税対策

同じ価値の資産を相続する場合、現金ではなく賃貸用不動産で相続することで、相続税評価額の引き下げ効果が期待できます。借家権割合や借地権割合、さらに、小規模宅地等の特例を活用できれば、土地の評価額が大きく減額されます。

レバレッジ効果

金融機関から融資を受けることができれば、少ない自己資金でも投資用不動産を購入することができます。つまり、少ない初期投資でもレバレッジ効果を得て、不動産投資を行うことが可能となるわけです。

インフレのリスクヘッジ

物価が上昇するインフレ時には、相対的にお金の価値が下がってしまいますが、不動産の価値は短期で大きく変動することが少ないため、インフレや市況の変化に対してリスクヘッジしやすいといえます。

資産の組み換えのプランとして

保有する資産のバランスを考えながら、資産の組み換えとして、新たに土地と賃貸住宅を購入するのも、ポートフォリオの改善策として一つの方法です。

即効性

土地の購入からはじめて賃貸住宅を建てる場合、土地売買契約から、請負契約を結び、建物を建てて、賃貸住宅経営をはじめますので、かなりの時間を要することになります。土地と新築賃貸住宅をセットで購入すれば、すぐに賃貸住宅経営を開始できます。つまり、相続税の評価減を受けられるタイミングで実行できるという意味で即効性があるといえます。

リスクを減らすためのポイント

一方、不動産オーナーにとっては、特に、相続などで古くからの土地に賃貸住宅経営を継続している人は、なじみのない土地で賃貸住宅経営を行うことに、投資のリスク、土地(立地)の評価ポイント、新規の入居募集、将来にわたっての資産価値など、さまざまな不安があるはずです。
現在の市況やニーズの変化を考えれば、より条件の良い立地での賃貸住宅を選択するのは当然の動きと見えますが、どのような観点で投資不動産を選択すれば良いのでしょうか。

収益性の確認

土地と新築賃貸住宅をセットで購入する場合、将来にわたって収益性に問題がないか検証する必要があります。とはいえ、不動産の将来の市況は、誰も分かりませんので、さまざまな情報から自分自身で判断しなければなりません。少なくとも、その事業者の持つ投資の基準や根拠を確認し、納得した上で判断することが必要です。

施設管理サポート

賃貸住宅経営は長期にわたります。建物は経年劣化しますし、設備も古くなっていきます。定期的な施設の適切なメンテナンスや設備の管理は、賃貸住宅経営に欠かすことはできません。長期にわたる管理サポートがあるかどうかも、重要なポイントです。

賃貸管理サポート

賃貸住宅経営には、入居募集や賃料回収など、多くの業務が存在します。また、周辺環境の変化に伴う対応も必要です。オーナー自ら賃貸住宅を管理するケースもありますが、信頼できる賃貸住宅経営のマネジメントのサポートがあるかどうかも判断基準のひとつです。

一括借上システム

一括借上とは、管理会社が契約に基づいた一定期間、全住戸を一括で借り上げ、オーナーは決まった賃料を定期的に得るという仕組みです。一括借上契約があれば、空室リスクなどの心配は不要です。ただし、状況によって、賃料の減額なども伴いますので、契約時には注意が必要です。

資産管理サポート

オーナーの資産形成だけではなく、次世代に効果的に継承することも大切です。適切なポートフォリオ、効果的な資産運用に関する相談相手となるパートナーがいれば安心です。

ZEH-M

将来を見据えた戦略として、ZEH-M(ゼッチマンション)認定の賃貸住宅が望ましいでしょう。土地の形状や地域によっては、基準を満たさない場合もあるかもしれませんが、ZEH-M仕様の賃貸住宅であれば、ご入居者にとって光熱費の削減を期待できるほか、オーナーにとってはCO2の削減など環境対応した建物を建築でき、環境問題の解決につながります。

土地の評価やその時代に応じた活用方法は、変化するものです。時代と環境に応じた土地活用の方法も多様化しています。さまざまな手段を検討したうえで、長期的に効果的な土地活用方法を探すことが、これからは必要になりそうです。

  • 【賃貸住宅における一括借上に関する注意事項】
  • ○賃貸住宅を賃貸する場合、借主(サブリース会社を含む)による一定の条件があります。
  • ○賃料は、契約開始日以降、賃貸借契約に基づき一定期間経過時およびそれ以降も契約に定める期間が経過するごとに、貸主借主協議のうえ、賃料の改定を行う場合があります。
  • ○また改定時期にかかわらず、物価・経済状況の変動や近隣賃料の著しい変化等により賃料が不相当になった場合も、貸主借主協議のうえ、賃料の改定を行う場合もあります。
  • ○賃料改定の協議が、賃料の改定期日以降に整った場合は、改定期日に遡って改定されます。
  • ○賃貸借契約においては、契約の定めに従い、賃料の免責期間が適用される場合があります。
  • ○また、建物や設備の維持修繕等においては、建物の所有者としてご負担いただく費用があります。
  • ○なお、賃貸借契約期間中においても解約になる場合があり、また、貸主から更新の拒絶をされる場合には正当な事由が必要となります。

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