大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

研究員のセカイ

地震があっても、日々の暮らしや
経済活動を維持できる日本

武佐が取り組むのは、ドラッグストアやコンビニエンスストアなど店舗や商業施設の天井、間仕切壁などの非構造部材。特に、耐震化技術に関する研究開発を主に行っています。

描く未来像

地震による店舗の天井落下や物流施設の間仕切壁倒壊などの被害が減少した社会

武佐の描く未来。
——地震大国日本。たとえ未来の技術をもってしても、地震が起こる頻度や規模を減少させることは難しい。しかし、その被害を少なくする取り組みは確実に進化を遂げている。
例えば、以前なら、ある程度大きな地震が起きると、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどの天井が落下することがあった。また、物流施設や倉庫の間仕切が落下する被害も起こっていた。

近年、そうした被害を耳にすることは少なくなった。安価で、施工の手間もかけずに耐震性を実現する技術が普及し、落下被害のない天井を持つ店舗や、高い構造耐力を有する壁を備えた倉庫、物流施設が日本中に広まったためだ。
これにより、地震が起こっても、店舗や物流施設は事業を継続することが可能になった。たとえ被害があっても、復旧工事にかかる日数は大幅に短縮された。日々の暮らしを維持し、経済活動の停滞も少ない、高いレジリエンスを持つ日本社会がそこにある—

いま取り組むこと

コストと手間をかけずに、非構造部材を耐震化する技術を開発

武佐が手がける非構造部材の耐震化は、東日本大震災などをきっかけに注目され、法整備が進みました。「しかし、技術の普及はまだまだ」と武佐は言います。普及を阻害する要因のひとつが、現在主流の技術にコストと施工の手間がかかること。このため武佐は、耐震性は保ちつつ、コストと手間を削減する技術の研究を進めています。

「関包スチール㈱、宇都宮工業㈱、㈱澤田建装と共同開発した「Dタフ天井」は、その一例です。天井を構成する部材をつなぐクリップは、地震などで一番被害の出やすい部分ですが、これを補強するためにクリップを大きくしたり、ビスを使って補強すると施工性は低下します」。そこで武佐が開発したのが「Dタフクリップ」です。在来天井で従来使われてきたクリップとほぼ同じ仕組みながら、在来天井の概ね2倍の鉛直耐力とすることを可能としました。
また、同じく武佐が開発した「大和ハウス工業式倉庫業法対応軽量鉄骨下地間仕切壁工法」は、大幅なコストダウンを実現した技術です。「物流施設や倉庫は階高が高く、地震で荷崩れが起きる危険性があるため、間仕切壁には厳しい強度基準が設けられています」と武佐。この基準を満たす商品をメーカー各社は開発してきましたが、特殊な下地材を使って補強するなど高コストのものがほとんどでした。

そんなある日、工事部門から「一般に流通しているC形鋼を使うことはできないか」という問い合わせが寄せられます。これに応えるべく、武佐は現場と一緒に開発を進めました。そして、ねじれが生じるというC形鋼の特性を抑えながら、簡易装着が可能な金物を現場と共に開発、従来比約3割以上のコストダウンを実現しました。「大和ハウスは物流施設を数多く手掛けているので、トータルでかなりのコストダウンにつながったと思います」

間仕切壁工法の開発で顕著ですが、現場の声をよく聞くことを大事にしているのは、大和ハウスの特徴と武佐は言います。「設計から施工までを一貫してやっているので、現場の声が研究所にも上がりやすいですね」

また、チーム内はもちろん、さまざまな人と研究開発を進めるのも特徴のひとつと話します。「商品が世の中で使われるためには、耐震性だけでなく耐火性なども同時に備えていなければなりません。そのため、自分の手がける領域以外の研究員と協力していくことは多いですね」。技術を少しでも早く世の中に提供することを共通の目標として、購買、品質保証、施工後の運用担当部門など大和ハウスグループの各部門と一緒になって研究開発を進めます。また、素材メーカーなどとも積極的にコラボレーションを行っています。「一歩進んだ知見を研究開発に取り入れたり、販売やその後の技術・運用のサポートで技術支援をいただいたりできるので助かっています」

社内外問わず、その道のプロたちと協力し合いながら、今日も武佐は研究開発を進めています。

研究への想い/研究の様子

日々の研究の様子を映像で、研究への想いをインタビューで、ご紹介

二つの地震体験が、私の研究の原点

研究員プロフィールProfile

武佐サライデン(むさ さらいでん)

建築技術研究部建築構工法グループ所属
大学院工学系研究科 建築学専攻修士課程修了
2015年4月入社

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